1 きらやか産業賞・ベンチャービジネス奨励賞の授賞式が行われました

きらやか銀行産業振興基金(理事長 川越浩司 きらやか銀行頭取)は、2023年度の「きらやか産業賞」および「ベンチャービジネス奨励賞」両賞の受賞者を決定し、2024年3月18日(月)、山形グランドホテルにて贈呈式を行いました。

1989年から続く「きらやか産業賞」は、技術や経営の革新・国際化・教育訓練の面で特に優れた実績を上げている県内の中小企業と団体・個人を顕彰するもので、今回で35回目を迎えました。また、1997年から続く「ベンチャービジネス奨励賞」は、特に将来性があり、新技術・新製品などの研究開発を行う中小企業と関連団体・研究成果による起業を予定している個人・団体を顕彰するもので、今回で28回目を数えます。

今回(2023年度)の受賞者は以下の通りです。

【第35回きらやか産業賞】

  • 一般財団法人三友堂病院(理事長 仁科 盛之 氏)
  • 丸善食品工業株式会社(代表取締役 竹本 博則 氏)

【【第28回ベンチャービジネス奨励賞】

  • 株式会社DMC天童温泉(代表取締役 山口 敦史 氏)
  • 湯野浜100年株式会社(代表取締役 五十嵐 浩 氏)

「きらやか産業賞」受賞企業には100万円、「ベンチャービジネス奨励賞」には50万円が贈られました。おめでとうございます!

次章からは、両賞を受賞した企業について、事業の詳細と選考理由を交えてご紹介します。

2 2023年度 受賞企業のご紹介

1)【きらやか産業賞】一般財団法人三友堂病院

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米沢市にある三友堂病院は、全国初となる「公立病院」と「民間病院」の再編統合を成し遂げました。

米沢市では、人口減少と高齢化が進んでおり、加えて常勤医の高齢化や医師不足も問題視されていました。その問題を解決するために、2023年、三友堂病院と米沢市立病院は、米沢市および置賜地域(山形県南部地域)の地域医療の維持を目指し、地域医療連携推進法人として再編統合を行いました。これから米沢市立病院は急性期医療に集中し、三友堂病院は回復期医療および慢性期医療に専念することで、それぞれの特長を補完して、地域の効率的・持続的な医療環境を整えます。

地域医療連携推進法人とは、地域における医療機関等相互間の機能分担や業務の連携を推進することを主な目的とする法人です。東北ではまだ5例目と珍しいことに加え、公立病院と民間病院が建物同士をつなげて連携し、機能を分担することは、なんと全国初の試みです。

特に三友堂病院にとっては、長年手掛けてきた急性期医療から回復期・慢性期医療へと完全にシフトする大きなチャレンジとなったのに加えて、革新的な取り組みで地域医療への貢献が期待されることから、第35回きらやか産業賞に表彰されました。

2)【きらやか産業賞】丸善食品工業株式会社

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丸善食品工業は、優れた加工と県内産食材を使用した魅力ある商品の製造、またSDGsの達成に寄与する循環型の産業を確立させました。

丸善食品工業は、1962年創業の業務用食品製造業者で、ガラスープやシーズニングオイル、調味エキスなどの業務用調味料を中心に取り扱う、「スープの丸善」として有名な企業です。山形県産の食材をふんだんに利用したスープが代表的な商品で、国内でのボーンエキス生産量は全国第5位、動物油脂からつくるシーズニングオイルのシェアは全国1位となっています。また、業務用ラーメンスープ用の背脂・業務用即席めん用の棒状背脂を全国ではじめて製造するなど、技術・アイデア共に非常に優れている企業です。

特に評価されたのは、庄内地方で養豚業が盛んであることに着目し、工場を移転した点です。

いままで庄内地方では、豚肉を精肉したあとに出る大量の豚骨を産業廃棄物として処理していました。しかし、同社が庄内地方に工場を構えたことで、豚骨をスープの材料として再利用できるようになりました。また、スープを抽出した後の骨は骨粉化することで、栄養価の高い肥料に変えて農家へ供給することができるようになりました。

従来は廃棄されていた豚骨から利益を生み出し、循環型の産業を確立させたことが地域全体に大きく貢献したとされ、第35回きらやか産業賞に選出されました。

3)【ベンチャービジネス奨励賞】株式会社DMC天童温泉

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DMC天童温泉は、天童温泉の若手経営者7名が手を組み、共同で設立した、着地型旅行商品(旅行会社ではなく、旅行者を受け入れる地域で作る旅行商品)の造成・販売会社です。

本来はライバルである経営者たちが協力し、「天童温泉」という地域全体に観光客を招致し、地方再生に貢献したことが、今回の表彰につながりました。

天童温泉は平成以降、団体旅行客が減少し、それに伴い観光客数も減少しつつありました。その状況を打破すべく立ち上がったのが、DMC天童温泉のメンバーたちです。

いちばん実が締まった時間帯にさくらんぼを食べることができる「朝摘みさくらんぼ狩りツアー」をはじめ、天童温泉オリジナルタオルの制作、屋台村の運営による活性化など、観光客の誘致につながる斬新な企画を数多く手掛けました。また、高齢者や障がい者のお客さまの受け入れ体制の整備なども行い、新たなチャレンジで天童温泉地域全体の活性化に貢献したことから、第28回ベンチャービジネス奨励賞に選出されました。

4)【ベンチャービジネス奨励賞】湯野浜100年株式会社

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湯野浜100年は、「100年前も、100年後も変わらない湯野浜の魅力」をキーワードに、湯野浜温泉地域全体の省エネ事業推進や、観光客誘致への取り組みを行う企業です。

奥州三楽郷のひとつに数えられる湯野浜温泉は、豊かな温泉資源に加えて白い砂浜と透明度の高い海に恵まれていることからも、かつては日本人向けの保養地として多くの旅館が立ち並び、栄えていました。しかし、観光客は年々減少しつつあり、また、高度経済成長期に作られた施設が老朽化したことなども要因となり、地域の資源を活かし切れずにいました。

そこで、湯野浜100年は鶴岡市や金融機関と協議を重ね、未利用であった温泉熱を回収して集中給湯ができる設備を開発。CO2の大幅な削減と共に老朽化した設備を一新し、温泉のインフラを盤石化させました。

その他にも、“飲食店が少ないために集まる場所がない”という地域の問題を解決するために「ゆのはま100年キッチン」を開業。「ゆのはま100年キッチン」は地域の旅館関係者の従業員食堂としても機能する予定で、地元の食材を産地直送で食べることができることから、フードロスの削減にもつながると考えられています。

以上の取り組みにより、地球環境に配慮した地域復興で湯野浜温泉の存在感が増し、将来的な展望も望めることから、第28回ベンチャービジネス奨励賞に選出されました。

3 きらやか銀行は革新的なビジネスを応援しています!

以上4件が、2023年度「きらやか産業賞」「ベンチャービジネス奨励賞」の表彰企業です。これからもきらやか銀行は、地元をもっともっと盛り上げるため、持続的な社会のため、新たな取り組みをはじめる事業者を応援し続けます。

以上(2024年5月作成)

画像:きらやか銀行

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